『映像散歩』(えいぞうさんぽ)は、日本放送協会の放送局(主に総合テレビ)にて、空き時間帯を利用して放送されるフィラー番組である。
概要
総合テレビが1996年4月から毎週金曜・土曜深夜(日付上は土曜・日曜)に限って24時間放送(『週末特選』)を開始したことをきっかけに放送を開始した。1997年からは『ミッドナイトチャンネル』明けの放送(事実上コンプレックス扱い)となった。
また2000年度からEテレも24時間放送になった関係で、早朝4時台の末尾(4:50 - 5:00)と『ETVライブラリー』の時間帯によって空きがある場合を中心に放送されたが、2006年3月をもって24時間放送を一旦中止するため、Eテレでの深夜放映も一旦休止となった。
総合テレビでは、以前は番組放送中、画面右上にNHKのロゴのスーパーが表示されたが、2004年8月2日深夜以降は表示されなくなった。
2008年度の番組改編ではミッドナイトチャンネル枠内の定時再放送枠を主に午前1時台と午前3時以降に固定され、定時枠の間をアンコール放送枠に設定されたことで、月曜深夜から金曜深夜にかけては全枠通常番組が基本となり、映像散歩の放送頻度が大幅に減少し、映像散歩の放送枠は土曜日深夜(=日曜日未明)・日曜日深夜(=月曜日未明)と不定期メンテナンス期間のみとなった。また2008年度改編よりハイビジョン撮影の映像散歩の放送が増加し、MUSIC BOXを始めとする標準画質の映像散歩がほぼ放映されなくなった。2015年度は一度、14時台の生放送枠が廃止され、再放送枠が移動したことから映像散歩枠が拡大したが、2017年度には14・15時台が『ごごナマ』の生放送枠になったため再び3・4時台に定時番組の再放送が再開したため再縮小された。『ごごナマ』は2020年度をもって終了となり、2021年度から再放送枠が日中に移動したため、それ以後は映像散歩の放送枠が拡大した。特に、月-木曜深夜に当たる火-金曜未明の時間帯は、1時台後半以後から4時(大相撲期間中は3:35)まで映像散歩が連続して放送される日も発生している。
2008年秋改編から2009年春まで、放送局管内の総合テレビでメンテナンスによる放送休止がある場合、緊急地震速報に対応できるようにするため、その放送局管内のEテレでは最終番組から翌放送開始時刻(4:59)まで映像散歩を放送した。2009年4月以後は深夜の休止枠での放送は省エネと環境対策の徹底から行わず、「緊急ニュース等がある際には 総合テレビをお休みしている地域では ご覧のチャンネルでお伝えします(一部地域を除く)」という断りの字幕を放送終了後、および翌日付開始前に入れる。
海外向けのNHKワールド・プレミアムでも30秒から2分程度、映像散歩の放送素材を使い、自然の風景ものを中心にフィラーとして放送されることもある。
2011年4月からはNHK BSプレミアムにおいて、午前2時台 - 5時台(1日の起点・5時をまたぐ)にも「BS映像散歩」が放送されるが、内容は地上波で放送されるものと同じである。2015年4月からは早朝定時番組の見直しに伴い、平日・祝日のみ5時台が廃止され、平日・祝日は概ね2時台〜4時台、週末は概ね2時台〜5時台前半(番組編成によっては週末も4時台)のみとなった。2018年4月からは、NHK BS1でもスポーツ中継(ない日はドキュメンタリーなど)終了後の概ね2時台~4時台前半に放送されている。
2020年3月1日に開始されたNHKプラスでは配信休止時間になっており、番組が同時配信されないが、一部は見逃し番組で配信されている。
2022年6月以後、総合テレビにおける放送の一部時間帯において、「NHKプラス」の案内字幕が表示され、主要番組の見逃し配信用QRコードも掲示されている。
主な放送時間
時刻は日本標準時。
総合テレビ
- 主に2時台(日曜日深夜〔月曜未明〕は主に1時台前後)から原則としてインターミッション(局名告知や自然映像・国旗掲揚など)が放送される時間帯まで。
- その他、放送機器メンテナンスが実施される期日は月1回で局内では「放送休止指定日」と呼ばれる。特に多い時期は第1、第3日曜日深夜(前述)の他、特定期間は一部地域で放送が休止されるため、時間が若干早まる場合もある。また天災や重大な事件・事故によっては放送を休止したり、また新聞発表された予定番組の代替で組まれる場合もある。そのため、深夜放送休止という扱いでもある。なお番組前後には「日章旗掲揚と君が代演奏」が流れる場合もある。
- 日曜日深夜でも単発枠の設定で放送時間が短時間であったり休止になる場合もある。
- 『みんなの体操』が制定された1999年9月から2000年3月26日まで、映像散歩内の4:54 - 4:59にも『みんなの体操』が放送された。
- 総合テレビの放送開始(基点)が4:30になる2004年4月より前の2003年9月30日から2004年3月12日まで、4:00から『生きもの地球紀行』を再放送していた。
教育テレビ(現・Eテレ)
- 2000年4月から2006年3月までは、総合テレビの終夜放送が行われる第2・4・5日曜日(この場合は日曜付け終了後に、「日章旗・君が代」が放送されていた)を除き、毎日終日24時間放送が行われており、原則的に『ETVライブラリー』の放送終了後(概ね2時台前半)から、『学校放送ライブラリー』があるとき(原則として4月第1週 - 7月第2週、9月第1週 - 12月第3週、1月第2週 - 3月第3週の月 - 木曜深夜)は2:50まで、それ以外は『高校講座ライブラリー』の前の3:50までと、『高校講座』終了後の4:50 - 5:00(放送日付上の基点)までが基本的な放送時間だった。
- ただし、年数回の放送設備点検で放送休止となる場合(2000年秋季以後、各局任意設定)は、放送休止となる場合に「日章旗・君が代」を放送する地域があったが、大抵は『ETVライブラリー』が本来始まるべき時間(1時前後)から5:00まで続ける場合もあった。
- 教育テレビの場合、テレビ情報誌では番組名で表記されたが、番組名がまだ決まっていない頃は「映像と音楽」と表記された。
- 2008年度後期は、これとは別に総合テレビの放送休止時=原則日曜深夜、及び年2回程度の平日の集中メンテナンス日は臨時に終夜放送を行う場合があり、翌朝5時前まで放送されたが、2009年度から現在は前述のとおり環境・省エネ対策の徹底から深夜の放送終了時・放送日上の翌日の放送開始時の前後十数分に「臨時ニュース」についての告知を入れる。
BS・BSプレミアム4K
- 2023年12月1日に再編され新開局したNHKBSでは定時では月曜早朝4時台のみ、NHKBSプレミアム4KではBSプレミアム同様、2時台から5時までに放送枠が予定されている。NHKBSは月 - 土曜の23時台から4時台まではBSセレクション・ エキサイティングスポーツ(随時)枠となっており、BS1スペシャルや単発のスペシャル番組の放送がメインで映像散歩が放送されるのは午前2時、3時台が主となっている。自然へのいざない、大いなる自然、旅のアルバム世界の工芸品といったナレーションありのミニ番組の放送もある。2024年4月以降は自然へのいざないといった2000年代前半制作のミニ番組の放送は減少している。
旧BS1・BSプレミアム
- 旧4チャンネル体制時代は、
- BSプレミアムは主に2時台もしくは3時台から5時まで(2015年3月までは6時まで、ただし週末のみ5時台前半も放送することがあった)。不定期で放送機器調整による休止がある。
- BS1でも、4時台の『ワールドニュースアジア』が終了した2018年度から、放送されており、全曜日通じて主に1時台もしくは2時台から4:30まで(ただし、スポーツ中継等で短縮・休止される場合もある)。海外のスポーツ中継の減少により2023年4月期からは0時台より4時間(日曜は6時まで6時間近くの日もあった)ほど放送されていた。
- なおBS4K・8K(8Kは現在も実施)は深夜 - 早朝(8Kは概ね22時過ぎ - 翌日10時過ぎ)にかけて、放送設備メンテナンスのため番組休止枠があるため、映像散歩が放送されることはほとんどなく、休止時は静止画像で「BS(4K・8K)はただいま放送を休止しています」の字幕が表示される程度だった。
- 2024年正月の能登半島地震に伴い、被災者向けへの情報提供のため、旧BSプレミアムのBS103chを利用して2024年1月9日よりNHK金沢総合テレビのサイマル放送を開始したが、権利関係の都合上、BSで放送できない海外ドラマやプロ野球中継等、一部の番組は映像散歩に差し替えて放送している。なお、BS103chによる放送は6月30日24:00を以って終了したが、終了直前の22:55以降は総合テレビで海外ドラマ等が編成されていた為映像散歩に差し替えられ、同チャンネルで最後に放送された番組となった。
内容
基本的に30分ないし60分で編集される。フィラーであるため、最後まで放映されるとは限らない。また、緊急ニュースを含めた地域番組差し替えのためこの時間に放送できなかった番組を振替放送するため、途中飛び乗りで開始する場合もある。
ナレーションがないため、原則として人の音声は入らないが、使用映像に音声が入っている時、そのまま使われることもある。
- MUSIC BOX(60分)
- 風情 日本
- 名曲コレクション
- 民族音楽紀行
- 映像世界旅
- 世界・大自然紀行
- 美しき自然・日本
- 宇宙(30分)
- 太陽系グランドツアー
- 大黄河悠久の旅
- 富士山
- 世界の街角
- イギリス鉄道の旅
- 水音シンフォニー
- 空中散歩(30分)
- 世界の市場(30分)
- 美景・絶景 日本列島再発見(30分)
- 日本夜景めぐり(30分)
- 京都 音めぐり(30分)
- ローカル鉄道の旅(30分)
- 音楽都市散歩(30分)
- 大空撮!ヒマラヤ山脈(30分)
- プラネットアース 絶景・天空の旅(30分)
- 昭和のSL映像館 ~NHKアーカイブスから~
- 生きものたちの地球(30分)
- 日本の名峰スケッチ(60分)
- 走れ!新幹線(30分・BSプレミアムの『BS映像散歩』のみ)
- 美しき日本の山々(60分)
- 美しき世界の山々(60分)
- 地球でイチバンシリーズ(60分)
- コズミックフロント☆ヒーリング(60分)
- 空からクルージング特別編(60分)
- ヨーロッパ トラムの旅(60分)
- 映像詩(60分)
- 運転席からの風景(60分)
- その他内外観光地のビデオ映像
映像散歩と類似する番組
厳密には映像散歩の作品群ではないが、映像散歩と連続した時間帯に放映されること、ナレーションのない環境映像的な作品という似通ったコンセプトであることから、この節にまとめて記載する。
- 水・族・館
- 音紀行(3分・5.1ch)
- 世界遺跡紀行(3分)
- さわやかウインドー(30分・主にBSプレミアムの『BS映像散歩』にて放送)
- ハイビジョンウインドー(60分、BSプレミアムの『BS映像散歩』のみ)
- BS洋楽グラフィティー→MUST BE UKTV(60分、BSプレミアムの『BS映像散歩』のみ)
- 菜園ライフ(60分、BSプレミアムの『BS映像散歩』のみ)
他番組の企画
番組の企画によって制作され、主に番組宣伝を目的とした『フィラー』番組がいくつか存在する。いわゆる風景や環境映像ではないものの、映像散歩と同じようにナレーションや人物の発言・セリフなどは含まれず、時報スーパーが表示される。
- イカ大王フィラー
30分枠。2014年3月から放送。映像・音声は「海底の花園 サンゴの美」をベースとするが、「LIFE!〜人生に捧げるコント〜」のキャラクター『イカ大王』(塚地武雅)が合成で出演する。
- フィラーでピカッチ
30分枠。2014年10月から放送。「伝えてピカッチ」のコーナーである『こねて伝えて 粘土でピカッチ』のお題と粘土作品を紹介する。
- テンゴな“Buzzフィラー”
30分枠。2018年10月14日未明、総合テレビ「テンゴちゃん」における企画『秋の夜長の“Buzzフィラー”選手権!』で、出演者おのおのがフィラー映像を制作。その中から選出された作品が同日「テンゴな“Buzzフィラー”」として放送された。その後も単発で何度か放送された。
- おやすみタローマン
30分枠。2023年7月から放送。「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」のキャラクター『タローマン』が登場する。なお番組本編の初回放送は前年の2022年に行われている。
脚注
注釈
出典
関連項目
- さわやかウインドー
外部リンク
- 昭和のSL映像館 - NHK放送史




