直入郡(なおいりぐん)は、大分県(豊後国)にあった郡。

郡域

1878年(明治11年)に行政区画として発足した当時の郡域は、下記の区域にあたる。

  • 竹田市の大部分(大字片ケ瀬、直入町大字神堤を除く)
  • 由布市の一部(庄内町阿蘇野)
  • 大分市の一部(今市)

歴史

古代

天平12年(740年)頃までに成立したとされる『豊後国風土記』において、豊後国の8つの郡のひとつとして直入郡(なおりのこおり)が挙げられている。同書の直入郡の条には、昔、この地に真っ直ぐに伸びた大きな桑の樹があったことから直桑(なおくわ)村といったのが訛ったものであると記されている。範囲は、概ね、現在の竹田市全域、由布市の一部(旧庄内町南部)にあたる。

また、承平年間(931年 - 938年)に成立した『和名類聚抄』には、この郡に、朽網、三宅、直入、柏原の4郷があったと記されている。

式内社

『延喜式』神名帳に記される郡内の式内社。

近世以降の沿革

  • 「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。(2町300村)
  • 慶応4年8月28日(1868年10月13日) - 熊本藩預地が日田県の管轄となる。
  • 明治4年
    • 7月14日(1871年8月29日) - 廃藩置県により、藩領が岡県熊本県の管轄となる。
    • 11月14日(1871年12月25日) - 第1次府県統合により、全域が大分県の管轄となる。
  • 明治8年(1875年)3月 - 以下の町村の統合が行われる。(1町69村)
  • 明治11年(1878年)11月1日 - 郡区町村編制法の大分県での施行により、行政区画としての直入郡が発足。郡役所が竹田町に設置。
  • 明治20年(1887年) - 高城村が恵良原村に合併。(1町68村)

町村制以降の沿革

  • 明治22年(1889年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。特記以外は全域が現・竹田市。(1町19村)
    • 竹田町 ← 竹田村、竹田町
    • 豊岡村 ← 会々村、飛田川村
    • 岡本村 ← 三宅村、挟田村、中村、枝村
    • 玉来村 ← 玉来村、拝田原村、吉田村、岩本村
    • 松本村 ← 穴井迫村、君ヶ園村、渡瀬村、岩瀬村、向山田村
    • 入田村 ← 門田村、入田村、太田村
    • 嫗岳村 ← 田井村、倉木村、神原村、中角村
    • 宮砥村 ← 次倉村、九重野村
    • 柏原村(単独村制)
    • 荻村 ← 藤渡村、新藤村、馬場村、桑木村、木下村、政所村、恵良原村、馬脊野村、南河内村
    • 菅生村 ← 今村、菅生村、戸上村、小塚村
    • 宮城村 ← 炭竈村、上坂田村、上畑村、刈小野村、古園村、志土知村、川床村、市用村、久保村、下志土知村
    • 城原村 ← 米納村、高伏村、城原村、下坂田村、小川村、福原村
    • 明治村 ← 平田村、植木村
    • 白丹村 ← 白丹村、添ヶ津留村
    • 久住村(単独村制)
    • 都野村 ← 仏原村、栢木村、有氏村
    • 長湯村(単独村制)
    • 阿蘇野村(単独村制。現・由布市)
    • 下竹田村 ← 下田北村、上田北村
    • 今市村が大野郡今市村の一部となる。
  • 明治24年(1891年)4月1日 - 郡制を施行。
  • 明治39年(1906年)6月30日 - 玉来村が町制施行して玉来町となる。(2町18村)
  • 大正9年(1920年)1月1日 - 久住村が町制施行して久住町となる。(3町17村)
  • 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
  • 大正15年(1926年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
  • 昭和17年(1942年)
    • 4月1日 - 竹田町・豊岡村・明治村・岡本村が合併し、改めて竹田町が発足。(3町14村)
    • 7月1日 - 「直入地方事務所」が竹田町に設置され、本郡を管轄。但し、一部は「大分地方事務所」の管轄。
  • 昭和23年(1948年)4月1日 - 長湯村が町制施行して長湯町となる。(4町13村)
  • 昭和25年(1950年)
    • 1月1日 - 阿蘇野村の所属郡が本郡から大分郡に変更。(4町12村)
    • 9月1日 - 竹田町の一部(会々・飛田川)が分立して豊岡村が発足。(4町13村)
  • 昭和29年(1954年)3月31日(2町4村)
    • 白丹村・久住町が合併し、改めて久住町が発足。
    • 竹田町・豊岡村・玉来町・松本村・入田村・嫗岳村・宮砥村・菅生村・宮城村・城原村が合併して竹田市が発足し、郡より離脱。
  • 昭和30年(1955年)
    • 3月20日 - 久住町・都野村が合併して久住都町が発足。(2町3村)
    • 3月31日 - 長湯町・下竹田村が合併して直入町が発足。(2町2村)
    • 4月1日 - 柏原村・荻村が合併して荻町が発足。(3町)
  • 昭和31年(1956年)2月1日 - 直入町が大野郡朝地町の一部(神堤)を編入。
  • 昭和32年(1957年)1月15日 - 久住都町が改称して久住町となる。
  • 平成17年(2005年)4月1日 - 荻町・久住町・直入町が竹田市と合併し、改めて竹田市が発足。同日直入郡消滅。

変遷表

行政

  • 歴代郡長

脚注

参考文献

  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 44 大分県、角川書店、1980年11月1日。ISBN 4040014405。 
  • 旧高旧領取調帳データベース
  • “昭和39年版 大分県統計年鑑 1 土地”. 2022年11月4日閲覧。

関連項目

  • 消滅した郡の一覧

彦太郎池(直入郡久住町)

長湯温泉/御前湯

【長湯温泉 ガニ湯】またまた恥ずかしい温泉に入浴【大分県竹田市直入町】 YouTube

1997年「木登り」篇 | 二階堂酒造

入間郡 求真百科