『SPIRAL』(スパイラル)は、茅原実里の7枚目のオリジナルアルバム。2018年9月26日にLantisから発売された。
制作
茅原は音楽活動を継続出来ているのは、巡り合う人、音楽、感情との素敵な縁があるからと考えており、巡り合う縁のスパイラルが茅原を未来につなげ運んでくれたという思いを込めてアルバム名を「SPIRAL」に決定した。アルバムのテーマは「縁」。
2012年に制作された「声もなく始まる世界」、2013年に制作された『Planet:Valkyrie』のために作られた「Little Wing」など、今まで制作されたが音源化されなかった曲をこのアルバムを制作するにあたり詰め込んだ。既に制作されていた楽曲はアルバム収録にあたり、新たにレコーディングし直した。2017年10月に制作の打ち合わせが始まり、その時点で収録曲の11曲が完成していたため、アルバム制作は既存のアルバムの中で最もスピード感のある制作進行となった。既存のアルバムはコンセプトを最初に決定し制作を進めていたが、本作は打ち合わせの時点で楽曲が出揃っていたことによりコンセプトは楽曲が完成した後に決定するという今までにないパターンとなった。
音楽性、作曲
収録曲の13曲中12曲の作曲を菊田大介が手掛けている。
「ENERGY MAKER」は、踊りだしたくなるようなかっこいい曲。アルバムのはじまりにふさわしい曲であり、本作を擬人化し、茅原が俯瞰しているようなイメージで作詞を行った。レコーディングは神の目線から楽曲を見下ろす感覚で行った。
「夢幻SPIRAL」は、音楽に向き合う茅原自身の気持ちが込められており、歌手活動を続けていく中で迷い戦いながら、愛をもらいながら無限に前進していくという思いを詰め込んだ。テーマは「己との戦い」。エネルギッシュかつ疾走感のあるシンフォニックロック曲であり、曲に導かれるままに作詞を行った。楽曲自体は「Final Moratorium」のような勢いのありカッコいい曲であるが、その中に茅原はセンチメンタルな自分や、弱い自分との葛藤を詞の中に落とし込んだ。アルバム初収録曲の中で最初にレコーディングが行われ、ディレクターから「バンドを従えて引っ張っていくボーカル」というオーダーがあり、野性的なイメージで行った。「ハァ?…ナンセンス」というフレーズは、茅原が「セリフにしたいから、オケをカットする」という提案した。
「金魚」は、「純情なんて熱い身体に焼けてしまった」という内容の大人の雰囲気が漂う情熱的なラテン調のラブソング。テーマは「報われない男女の恋愛」。詞は唐沢美帆が手掛けており、唐沢には「結ばれない恋」というオーダーをした。女性的な儚さ、セクシーさを意識してレコーディングを行った。
「Little Wing」は、本作に収録するにあたり今の茅原の思いを反映させた内容に微調整された。『Planet:Valkyrie』のアニメーション内容が「大切な人と大空を飛びまわる」という内容であるため、笑顔であたたかい気持ちでレコーディングに臨んだ。
「奇跡」は、2014年に制作された曲であり、「Little Wing」と同様に本作に収録するにあたり歌詞が微調整された。平和への祈りが詞に込められている。「聖母のイメージ」をディレクションされ、慈しみ、優しさを意識し、レコーディングを行った。
「声もなく始まる世界」は、2012年に企画されていた、歌を原作にしたプロジェクトのために制作された曲。この企画自体は実現はしなかったため、長期間音源化がされていなかったが、茅原が「いつの日かライブで歌いたい」と思い続けていたため、本作に収録されることが決定した。このプロジェクトがきっかけとなり、『Planet:Valkyrie』、『D-Formation』が制作された。
「言の葉」の詞は茅原の素直な気持ちを詰め込んでおり、ファンへの感謝と応援のメッセージを描いている。ファンからの気持ちを受け取った後に作詞に取りたいと思ったため、8月4日、5日に開催された『SUMMER CHAMPION 2018 〜Minori Chihara 10th Summer Live〜』の後に作詞を行った。「夏の夜空 彩る華」は、毎年、河口湖ステラシアターで行われている野外ライブのラストで打ち上がる花火をイメージしている。収録曲の中で最後に収録された曲であり、レコーディングは、肩の力を抜き、ナチュラルに歌うという方向性で行った。最初から最後まで一気に歌った方がいいとディレクターから提案され、レコーディングでは1曲通しで歌入れを行った。通しで歌った3回目の歌を収録する音源に選んだ。
「アイアイ愛してるよ♡」は、旗曲として制作された元気でフレッシュなバンドサウンドの爽やかな曲。既存曲にはない方向性の曲名となっている。野球部のマネージャーの女の子がずっと好きだったら人に告白するという恋の歌であり、18歳の女子高生を曲の主人公にするというキャラ設定を描きながらレコーディングを行った。茅原は野球部のマネージャーをしていた経験があるため、詞には茅原の実体験が反映されている。
「シャラララ」は、ライブのアンコールでファンと手を振り合いながら歌うイメージで制作された。
リリース、プロモーション
前作『Innocent Age』から約2年5カ月ぶりのリリース。初回限定盤、通常盤の2種リリース。初回限定盤には、リード曲「夢幻SPIRAL」のミュージックビデオ、8月4日、5日に開催された『SUMMER CHAMPION 2018 〜Minori Chihara 10th Summer Live〜』のメイキング映像、同ライブで新規制作された「purest note 〜あたたかい音」の10周年記念バジョージョンPVを収録。本作の発売は6月6日に行われた『茅原実里のミスサンシャイン』の公開生放送で発表された。
9月12日、19日配信の『茅原実里のradio minorhythm』で収録曲の全曲紹介を行った。9月21日にランティスのYouTube公式チャンネル「Lantis Channel」で収録曲の全曲試聴動画が配信された。9月26日に本作の発売を記念し、『茅原実里のミスサンシャイン』の公開生放送を開催。9月29日、30日にアニメイト新宿、アニメイト大阪日本橋でリリースイベントを開催。内容はお渡し会。9月30日のイベントは平成30年台風第24号の接近に伴い、開催が延期された。
ツアー
2019年1月20日から3月9日まで本作を引っ提げたコンサートツアー『Minori Chihara Live Tour 2019 〜SPIRAL〜』を開催。
ミュージック・ビデオ
「夢幻SPIRAL」のミュージックビデオは楽曲をイメージした赤のボディースーツを着用している。既存のアルバムのリードトラックのPVでは、ドレスや女神感のある衣装が多かったが、茅原自身の輪郭をしっかりと出すというテーマを持っていたことから衣装が決定した。
「今の茅原実里」のありのままの姿を見せたいと考え、ファンや茅原を知らない人にインパクトを与えたいと思いで撮影に臨んだ。撮影は7月14日に行われた。「ハァ?…ナンセンス」という部分は、茅原の中にあるS要素を引っ張りだし、挑んだ。
8月4日にランティスのYouTube公式チャンネル「Lantis Channel」でミュージックビデオのショートバージョンが配信された。
収録曲
スタッフ・クレジット
楽曲スタッフ
Blu-ray Disc STAFF
- 「夢幻SPIRAL」Music Video
- Producer:川瀬 "SAM" 新一(Kanamedo)、JAMBOi(Kanamedo)
- Director:田原英孝
- D.O.P:対馬ヒロミ
- Lighting Director:後藤謙一(BONDS)
- Art:荒井茂
- Production Manager:松田謙汰(Kanamedo)
- Guitar:ゴンガーシホ
- Drums:ひぐちしょうこ
- 「SUMMER CHAMPION 2018 〜Minori Chihara 10th Summer Live〜」
チャート
脚注
注釈
出典
参考文献
- 仲上佳克『声優グランプリ』2018年10月号、主婦の友社、2018年9月10日。
- 土橋彩梨紗『声優アニメディア』2018年10月号、学研プラス、2018年9月10日。
- 『Lantis Collection』2018 SUMMER、バンダイナムコアーツ、2018年8月。
- 幡野敬『Pick-up Voice』2018年11月号、EMTG、2018年9月26日。
外部リンク
- ランティスによる紹介ページ
- 初回限定盤
- 通常盤


![【200】夢幻SPIRAL [茅原実里] Drum Cover YouTube](https://i.ytimg.com/vi/ffJmw4SBTVQ/maxresdefault.jpg)

